日本の「ものづくり」を語る上で欠かせないのが、高精度な金属部品を大量かつ安定的に供給する鋳造技術です。
特に自動車やオートバイの高性能化に伴い、エンジンやトランスミッションなどの重要部品には、より複雑で精密な内部構造が求められています。
その鍵を握るのが「中子(なかご)」です。
愛知県西尾市に拠点を置く深見シェルモールド工業株式会社は、昭和48年の創業以来、この精密鋳造用中子の製造一筋に歩んできたエキスパートです。
オートバイのエンジン部品から始まり、現在では自動車部品まで幅広い分野に対応する同社の技術は、高度な製造ノウハウと徹底した品質管理に基づいています。
本稿では、深見シェルモールド工業が提供する「中子」の技術的優位性、創業から培ってきた実績、そしてものづくりの未来を支える製造体制に迫ります。
自動車・バイクの進化を支える「シェル中子」とは

深見シェルモールド工業の主力製品であるシェル中子は、精密鋳造法の一つであるシェルモールド製法を用いて製造されます。
この技術は、鋳物砂を熱硬化性の樹脂(レジン)でコーティングした「レジンコーテッドサンド(RCS)」を、250℃から350℃の高温に加熱された金型に吹き付けて、熱によって硬化させる方法です。
その名の通り、硬化後の鋳型は二枚貝の殻(シェル)のように薄く、強靭な造形物となります。
自動車やオートバイの部品、例えばエンジンのシリンダーブロックやヘッド、トランスミッションケースなどは、内部にオイルや冷却水の複雑な流路を持っています。
この複雑な中空構造を正確に造形するためには、流し込む溶けた金属の熱や圧力に耐え、かつ高い寸法精度を保つ中子が必要です。
深見シェルモールド工業の中子は、RCSの高い流動性により、従来の砂型では困難だった極めて複雑な形状や、薄肉の中空構造も容易に実現します。
これにより、製品の軽量化や高性能化に直結する設計が可能となり、現代の自動車産業の進化を根幹から支えているのです。
「超精密造形」を可能にする技術と品質

深見シェルモールド工業が約50年にわたり鋳物用鋳型(中子)メーカーの信頼を勝ち得てきた背景には、他社には真似のできない高度な製造技術と徹底した品質管理体制があります。
創業当初、同社はアルミ製品用の中子に特化し、特にオートバイのエンジンやフレームといった難易度の高い部品を支えてきました。
シェルモールド製法は、高い寸法精度と美しい鋳肌(表面仕上げ)が特長です。深見シェルモールド工業が製造する中子を介して作られた鋳物は、焼付きが少なく、後工程の機械加工コストを大幅に削減できるというメリットを顧客にもたらします。
また、鋳型強度が非常に強力であるため、搬送時の破損リスクを低減し、製品の安定供給に貢献しています。
同社は、500×600mmクラスの大型機から300×300mmの小型機まで、計17台の多様なシェルマシーンを保有しており、この豊富な設備群と熟練のオペレーション技術が、常に安定した高品質な中子製造を可能にしています。
長年にわたり培われたノウハウは、鋳造における細かな温度管理や金型製作の技術に集約されており、「高度な製造技術」と「徹底した品質管理」の二本柱が、同社の信頼性の基盤を築いています。
試作から量産まで対応する「小回りの利く」製造体制

製造業の現場では、新製品開発における試作段階や、特定のニーズに基づく小ロット生産への柔軟な対応が求められます。
深見シェルモールド工業は、「試作などの中子の小ロットにもご対応いたします」と明言している通り、大手には難しいきめ細やかなサービスを提供できるのが大きな強みです。
顧客からの図面をもとに、お客様と綿密な打ち合わせを行い、その部品にとって最適な中子製造の仕様を提案します。
最適な中子の設計は、鋳造欠陥を防ぎ、製品品質を決定づける重要な要素です。
長年の経験を持つ同社のエンジニアは、材質、形状、生産量といった様々な条件を考慮し、中子の金型メーカーとも連携を取りながら、最善のソリューションを同時進行で確立していきます。
この「小回りの利く」生産体制は、単に少量生産に対応するだけでなく、顧客の求める品質基準を確実にクリアするための、一貫したサポート体制を意味します。
徹底した品質管理のもと、試作段階から量産へスムーズに移行できる体制が整っており、多品種少量生産のニーズが高まる現代のものづくりにおいて、極めて価値のあるパートナーシップを提供しています。
災害に強く、未来を見据えた「安心」の事業継続計画

深見シェルモールド工業は、製品の品質だけでなく、企業としての安定性と継続性にも注力しています。
同社の新工場は、愛知県西尾市の幹線道路に近く、国道23号バイパス(西尾東インター)からも約10分と、アクセスしやすい環境に立地しています。これは、原材料の調達や製品の迅速な出荷において、大きな優位性をもたらします。
さらに、同社はBCP(事業継続計画)に関しても万全な体制を構築しています。
新工場は耐震性能が計算されており、自然災害の際にも安全性が確保されています。
製造サプライチェーンが途絶えるリスクを最小限に抑えることは、顧客である鋳物メーカーの生産計画を守る上で、極めて重要な責務です。
また、社内環境への配慮も徹底しており、COVID-19(新型コロナウイルス)対策として、救急車にも搭載されるオゾン脱臭機を導入するなど、従業員が安心して働ける環境づくりにも力を入れています。
工場内では、無線アンドンシステム(ソネット君)を導入し、生産ラインの見える化と効率化を図るなど、常に未来を見据えた生産性向上とリスク管理への投資を継続しています。
深見シェルモールド工業株式会社 会社概要
所在地: 愛知県西尾市長縄町西落22番地1
代表者: 深見 俊之
創業: 1973年 深見製作所
社名変更: 1990年 深見シェルモールド工業株式会社
事業内容: シェルモールド法による中子の製作
